経験したことのない職業って気になりますよね?
私自身、20代が終わるまでずっと現場で働く作業員をやってきたので、いつもスーツ姿で涼しい顔をしている事務職には随分と憧れたもの。
30代までなら経験がなくても採用されてしまいますが、それが40代になると急に難易度は上がってしまいます。
伏見さんも40代半ばにして、ものづくりに興味を抱いてしまったようです。
営業職に不満はなかったがものづくりに強いあこがれ
現在家具・建具製造で働く46歳男性。
以前は営業職でした。
私は大学を卒業してから、出版社・広告代理店・食品販売と営業職として転職。
出版社では発行する雑誌の広告営業、広告代理店では新聞・テレビ・ラジオの広告営業、食品販売では作った食品を大手食品卸やドラッグストアチェーンや高速道路のパーキングエリアの会社へ売り込む営業でした。
営業自体はどの職種でも成果が上がればそれなりに嬉しいしやりがいを感じてはいましたが、本来ものづくりが好きな私は営業で売り込む商品自体を作る側に強い興味を抱いていました。
出版社や広告代理店にいる時は、DTPで紙面を作り上げていく作業やクライアントの要望に沿った広告を決まったスペースに構築していく作業が強く気になっていました。
食品製造に転職した際は、大量の原材料と容器が製造工程でひとつになり新しい商品となる姿に面白みを感じていました。
現にそれぞれの営業時代には、広告制作や食品工場部門の方々に営業職として必要以上のことを多く教えていただき、一部の作業を手伝わせてもらえるくらいにもなっていました。
そういった私の気質が、未経験の職種への転職に向かった動機の最も大きな部分。
ただ、40代でいきなりものづくりを担当する職種に就きたいといってもその手段が分からず、心底やりたいものづくりに向かって決断をするまでに数年を要したことは事実。
実際の転職に至っては、公共の職業安定所がアドバイスを含め大きく役立ってくれました。
興味があるって理由だけで未経験で転職できるのか心配した
私が転職するにあたって心配だったのは、もちろん40半ばで異業種間の転職が出来るのか。
もっと正直に言えば、自分の興味や趣味に関する思いから転職することがはたして通用するのかが実際の不安点でしたが、家族が居ることも大きなネックだったことも確かです。
子供が2人いて、まだ小学生だし、妻も納得してくれるかも心配でしたね。
私はそんなこんなで、漠然とした転職への思いを続けていても歳を取っていくだけだ!と自分を奮い立たせ、とりあえずは誰にも相談せずに、公共の職業安定所へどんな職種があるか調べに行きました。
なぜなら、転職サイトはいろいろあり内容も豊富ですが、イマイチ親近感が持てないじゃないですか?
転職サイトの売り込み姿勢が、職業柄よく分かってしまい、冷めた感じで批判的に見てしまうので基本中の基本に戻って職業安定所で聞くことにしたのです。
私の住む地域の職業安定所は、平日19時まで開いているサテライトオフィス。
就業中の私でも仕事終わりに行くことが出来たし、私の転職に大きく役立ってくれることになります。
初めてその職業安定所の事務所に行ったときは、いきなり1対1で相談するシステムにたじろぎました。
でも怖気づいているほど私に時間は残ってはいません。
自分が今就職している立場で転職を考えている、今までの経験とは違う職種に就きたいと力説すると、丁寧に親身に対応してくれ驚きました。
ちなみに公共職業安定所は、ネットでも全国の求人情報を検索できますよね。
未経験ので全く相手にしてもらえずハローワークに相談した
私は自宅で、職業安定所で自分に合いそうな企業の求人をピックアップして印刷し、仕事帰りに、遅くまでやっている職業安定所の事務所にちょくちょく通うようになりました。
ちなみに、職業安定所で求職登録すると、未登録の人は見ることができない企業名が伏せられている求人も企業名まで見ることができるようになります。
安定所の担当者の方に私が持っていった企業を見せると、先方に連絡してくれて私自身を売り込んでくれます。
すると、経験した業種である出版広告業界や食品業界では制作・製造も募集してはいるのですが、話を聞いてみるとやはり「営業経験しかないなら営業でしか取れない」返答が返ってくるばかりで、自分の考えを否定したくなる心理状態になっていきました。
職業安定所の人はそんな私を見て、私に思いもよらない提案をしてくれました。
それは、職業訓練にチャレンジしてみたらどうかという提案でした。
職業訓練とは、雇用保険を払っていた人なら給付金をもらいながら専門的な職業についての知識や技能を学べる学校のようなもの。
その種類はビジネスパソコン操作といった基本的なものから、機械作業、電気工事、パソコンプログラム、建築・CADなど様々で、期間も半年〜1年位という実に専門性が高いカリキュラムでした。
私はそんなものがあるとは40数年生きてきましたが全く知らず、世の中の広さを改めて知った気がしました。
結局、私が選んだのは建築・CADで半年間のコースでした。
しかも、通常なら自己都合退職で120日間だった私の失業手当が、無条件に180日に伸びるシステムに力をもらい意を決して妻に暴露。
もちろん猛反対されましたが、職業訓練で勉強して転職したい旨を伝え、建築・CADのコースで知識の習得から始めることにし押し切った形です。
苦労したのもウソみたいに職業訓練校経由で内定をゲット
私は、ものづくりの醍醐味を最大限に感じることが出来るであろう職業訓練の建築CADコースでは建築の知識と実技を体系的に学びました。
40人程度の様々な年齢と経験を持つ男女がひとつの方向に向かい学習するのは、今までの学校生活にはない新しい刺激がたくさんあり、人生経験のひとつの糧になったことは確か。
半年の訓練期間でしたが、今まで欲していたものを楽しく吸収することが出来ました。
結果的には、建築CADコースの講師から紹介された家具建具製造会社に就職することが出来ました。
あれだけ職業紹介所で「未経験者に紹介できる仕事はない」と言われていたのがウソみたいに、サクッと内定を頂けてしまう奇跡。
求人に応募する際は、営業の経験が長かくどこの企業からも「営業をやってもらいたい」返答が返ってきました。
しかしそこは今までの経験を投げ捨ててまで職業訓練した意地があったので、根気よく自分の要望を受け入れてくれる会社を探しました。
そんな中で見つかったのが現在勤めている家具建具製造会社。
給料は以前よりかなり下がりましたが、毎日の仕事が非常に楽しく充実した生活を送っています。
転職して数年が経ちましたが、後悔はまったくありません。
自分が欲していたことが、その通りに進むやり方も無いわけではないんだなと実感しています。
唯一辛い点は、退職金が無いこと。
小さい会社ですが業績も安定していて月給自体は悪くありませんが、正職員ではあっても准社員の立場でボーナスも少なめです。
ただ、悶々として不満がある仕事を続けているよりは精神的に安定していて、家族にも優しくなった自分が居るように感じています。
憧れだけでものづくり業界に転職した40代のケース
最後に要点をまとめておきます。
- 営業職ひと筋で頑張ってきたが職人に強い憧れ
- 転職サイトの売り込み姿勢が気に喰わずハローワークで活動
- 未経験での40代転職はやはり難しく苦労した
- 苦労したのがウソみたいに職業訓練校繋がりで内定をゲット
まだ見ぬ業界や職種は憧れますが、未経験での転職となると難易度がグッと上がってしまうもの。
今回のケースは運よく職業訓練校繋がりで転職できましたが、下手をすると長期化してしまいます。
40代の転職は常に最悪のシナリオを想定しつつ進めてくださいね。
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