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資格があれば安泰?40代で転職を決意した男の誤算とその後を追跡調査

後からやってきた人間にとやかく言われると腹が立ちますよね?

生意気な新入社員や後輩、右も左も分からない転職者はまだしも、権限を持っている管理職や役員だったら困った事態に陥ります。

これは40代後半で転職を決意した山口さんのお話。

築き上げてきたものを壊す新社長に不満が爆発し40代で転職

46歳男ビル管理会社 拠点の所長から電気設備の点検業務を行政から請け負う自営業に転身。

元々、ビル管理会社で創立50周年にあたる我々の会社は、創立当初は30人で始めた小さな会社。

管理しているビルのオ-ナ-からリクエストがあると、どんな時でも駆け付けて、ただちに対応する生活を何年も続けてきました。

子供たちを風呂に入れていようが、家族と旅行に行った先でもオーナーから呼び出されることは、我が家では当たり前で、「嫌だな」って感じることはありません。

(子供たちや嫁さんにすれば迷惑な話だったでしょうが…)

その頃の苦労といったら、ビジネスマンとして重要な経験になりましたし、以降どんなトラブルにおいても冷静経験に対応できる引き出しができたので、私にとっては良い経験。

そんな会社の雰囲気が変わったのは、会社が業務拡大を進めていく中で、親会社から経営陣が天下りしてきて勝手なことをするようになってきたから。

特に新しい社長は、今まで我々プロパ-社員たちが長年築き上げてきた様々なことを否定し回り始めました。

それが転職を考えた一番の動機でしたね。

このまま親会社から来た新社長の機嫌を取りながら、定年まで勤務するのに15年以上ありましたから。

新社長とはやっていけないということで、既に同期連中は数人退職していたこともあり決断した形。

まぁ、電気点検の資格があるから、なんとか転職できるんじゃないか?って軽く考えていました。

結構、ひとつの会社生活が長くて世間知らずであったことは、その時はあまり気が付いておりませんでした。

資格があれば世の中渡っていけると踏んだが年齢が足かせ

途中から私たちの会社に親会社から所謂天下りしてきて、勝手に会社の空気をいじりはじめ、挙句には田中角栄の「日本改造」ならぬ、「会社改造」に取り掛かった新社長。

一生懸命変わって頑張ろうって意欲はわかるのですが、この人の下で働くのは自分の人生を否定することになるって判断をするのに半年もかかりませんでした。

それまでに、会社生活を送り様々な公的資格を取得していた私。

世の中、資格を持っていれば就ける業務は確実に存在する、それらは定期的に点検しなければならない点検業務だったので、ビル管理会社の拠点所長を辞めることに不安を感じることはありませんでした。

日本中に、建物がある限りビル管理業務の仕事はなくならないし、それを生業にしている会社は、大きいところは1,000人単位で、小さいところは50人単位で会社が存在するので、給与面で過度な期待をしなければ、簡単に仕事が見つかるものだと高を括っていましたね。

ただ、心配だったのは年齢のこと。

同じ仕事をするならば、雇う側としたら若い方が良いとのは、自分が採用の側にいるときはいつも感じていました。

そのことが気になっていたので、知り合いの電気設備点検会社の社長に声掛けをして回ることから始めました。

あまり、昔の仕事のコネで再就職するのは気が進みませんでしたが、自分の46歳という年齢を考えると、新しい職場が決まるとは思わなかったからです。

その時に、先方の社長から、電気点検資格、電検2種の資格を持っているのは分かったけど、再度行政の認定を受けるように言われました。

少し気になってはいましたが、退職時の考え方の合わない社長との意見のぶつかり合いに精力を取られていたので、どう対応したらいいのかをきちんとその時は考えていませんでした。

資格を持っていてもハローワークは全く役には立たなかった

我々の会社、それなりに会社として利益を上げ健全な企業活動を進めていたビル管理会社。

お互い様子見が終わった頃でしょうか、社内の改革に着手し始めて、もともとこの会社を大きくしてきたプロパ-社員、プロパ-役員に対して、様々な局面でNOを突き詰め始めたんですよね。

私たちのことを労うどころか、ディスりまくる新社長。

同僚達の肩を持つわけではありませんが、やはり後から来た人間にとやかく言われるのは我慢ができませんよね?

旧勢力の追い出しが始まって1年間が過ぎようとしていた頃、私は自らの意思で退職。

次の職場は自分で見つけるしかありませんが、ハローワークに出向いてもロクな求人はありません。

ここは手っ取り早くと、知り合いの電気設備点検会社の社長に頼み込んで雇ってもらうことにしました。

この時ほど、人脈大事だなって思ったことはありませんね。

基本的に、顧客先の電気設備を順番に点検して、異常がないか異常があれば修理するのが新しい会社のフレ-ムワ-クでした。

電気設備の点検は、行政の指示で行う公的点検です。

かつての通産省、現在の経産省の認定を受けた人間が、設備の大きさによって決められた期間で定期点検することになっていますが、この認定が曲者。

私自身、紙一枚を経産省の出先機関の経産局に提出すれば、手続きが完了と考えていましたが、実際は電気設備点検の資格は認定するが、いたずらに点検する人間の数を増やしたくないので認定は非常に厳しい道のりを意識的に付けられていました。

具体的には、経産局の窓口に何度も何度も出かけ担当の試験官というべき担当者とやり取りを幾度となく繰り返さなければなりません。

レポ-トをたくさん提出し突っ返されると、追加修正を行い8ケ月かかってようやく認定。

アホらしい!!って思ったのは言うまでもありませんが、ここまで到達して、資格取得、資格認定がそろったので、客先に出向いて点検できるようになりました。

それまでは資格を持っているのにも関わらず仕事ができない社員のひとり。

私を雇ってくれた社長の顔に泥を塗った形でしたし、金を稼いでこないので非常に肩身が狭い思いをしておりました。

理性よりも怒りが先だって40代で転職したことを後悔している

日本の社会では、企業に入ったら辛いことがあっても我慢して、まさに石の上にも三年を地で行くことが求められてきました。

現在の日本では、新入社員の入社1年後の退職率が3割って業界が増えていますが、私と同じ世代は、終身雇用が当たり前で教育されてきた世代。

私の場合、会社生活を経て培ってきた人生の取り組み方を、第三者に否定され退職という選択肢を取りました。

もちろん、新しい流れになって悪いことばかりではなくて、良くなったことも沢山ありました。

今思うと、昔からの考え方を大切にして、新しい会社の方針に従って仕事を続けていく選択肢もありだったのかもしれません。

現にそのような生き方を選んだ同期もいました。

それはそれで、ひとつの進み方だと思っています。

私は理性よりも怒りが先立ち、退職を高らかに宣言して既定路線になってしまっていました。

その後乗り越えなければならない転職を事前に検討しなかったのも、ミスと言えばミスです。

ただ、知り合いの電気設備点検会社の社長の存在があったので、少し舐めていたのかもしれませんね。

会社を飛び出すような形で辞めた後、いくつかのビル管理会社の求人募集を受けましたが、なんだかんだといって良い回答をもらえところはありませんでした。

新しい会社が決まって、業界の会合等で当時求人募集を出していて、断られたところの関係者に話を聞く機会がありました。

40代でもやってもらう仕事はあるが、年齢からすると給与が高くなりすぎなので若い人が良かったと厳しい回答でした。

比較的中小の会社を選んでおれば、採用を勝ち取れたような気も致しました。

まあ結果論なのかもしれませんが…。

40代で転職を決意した男の誤算とその後を追跡調査

最後に要点をまとめておきます。

  • パソコンを使ったことがあれば事務職になれる考えが甘かった
  • パソコンを使いこなせないと使えない派遣社員と罵倒される
  • ド短期の派遣はどこに行かされるか分かずイライラ
  • 派遣でも20年近い社会人としての経験が役立つ場面が多い

山口さんは取引先の社長に拾われた後に独立。

現在は、数名の社員を抱える会社の社長を続けられていますが、「もしあの時、勢いで辞めなければ?」という思いは未だに拭い去れないといいます。

有利な資格があっても、年齢が足かせになることを忘れず転職に着手してくださいね。

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